STROKE2025のランチョンセミナーで共催させて頂くことになりました!

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田中紘一の記事が『月刊誌 致知』2月号に掲載されました。

私(技術顧問・豊島)は、内視鏡やその他の医療機器の事業化に約30年携わってきました。後半は内視鏡分野とは違った生体材料や再生医療、新規医療機器など30以上のテーマの新事業立ち上げにチャレンジしました。市場シェアが世界的にも非常に高い内視鏡事業とは異なるポジションの医療機器事業の立ち上げも数多くの経験もすることができました。また、会社を卒業後、医療機器に参入を目論む大企業や中小企業、大学発のベンチャー、等のご支援もさせていただきました。そういった経験の中で、「いいものを造っても売れない」というのを皮膚感覚で感じてきました。
弊社は、主にイスラエルで開発された医療機器を日本市場に導入するという仕事の中で、80製品を超える機器の日本での市場性検討をしてきています。
そこでも感じたのが、冒頭の「いいものを造っても売れない」でした。
(正確にいうと、「いいものでなければ当然売れない、ただ、いいものだからといって売れるとは限らない」という事です。)
この肌感覚「いいものを造っても売れない」を、①医療機器メーカー視点と②海外で開発された優れた医療機器を日本市場に導入するという2つの視点で見たときの共通項をまとめてみました。
ここでいう「いいもの」とは、医療機器メーカーが「いいもの」視点で造ったハード/ソフト製品のことで、必ずしも市場性等の分析に基づく、その市場にあった導入・販売戦略が構築できていない製品のことを指します。
上記以外に、メーカーもしくは輸入・販売代理店の視点では、
1. 法規制(RA)いわゆる薬機承認の壁が高すぎることもある。品質体制の構築(QA)にも資
源と時間がかかる。 その製品の医学的有用性=医学的有効性+経済性、が充分高くないと
投資(RA, QA)コストや時間にみあうビジネスとは判断され難い。
2. 医療機器は新医療機器事業であれば、なおさら、事業収益をあげるのに時間がかかる。想定
外は必ず発生するので事業計画は後ろにずれ込むことが多く、多くの場合後の方になればな
るほど苦しくなる計画で事業を始めるので問題が顕著化しやすい。
といった事がいえます。
まとめますと、
商品=製品+手技開発といわれるようになってきましたが、この商品を売れる商品にするには 「商品+販売体制構築」 が不可欠と考えます。
その販売体制構築は、メーカーや輸入業者と販売網や医師との連携をどう築き上げるかも重要でありその部分に資源の投入が必要です。無論、法規制のクリアも必須ですし、戦略的考え方がとても重要です。
また、新コンセプトの医療機器の場合は、メーカーが得意なPDCAサイクルだけでは時間とコストがかかるだけでなくタイミングを逸するリスクが高くOODAサイクルの取り込みも必須と考えます。
最後に、医療機器ビジネスに携わることの素晴らしさは、”患者様の苦しみが少しでも改善され、ご本人だけでなく、ご家族様の喜びを、感じることができたとき、心から自分自身も癒やされ、本当に微力ながら貢献できることに感謝することができるところにもある” と、このところその思いを強くしております。
お読みいただき、ありがとうございました。
東京国際健康産業が力を入れていることの一つに、イスラエルの革新的医療機器の日本導入があります。日本の医療機器の市場は世界で見ても2-3位の大きさがあります※[1]。また世界で最も早く超高齢化社会を迎える日本の医療経済政策は、世界の注目の的です。少子化の危機が叫ばれていますが、日本は世界で人口第11位の国(2021年時点)です[2]。医療機器の市場としては未だ無視できない大きさです。
しかしながら、海外企業から見ると言語の壁が大きく、また特に大会社は(もちろん会社さんに拠りますが)平均的にみると社内決済に時間がかかることが多く、市場参入が難しい国という印象を持たれることも少なくありません。中国や台湾・香港といった周辺のアジアの国の方に、日本より先に製品が導入されているケースもよく見ます。
当社は小さい会社ながらも、貿易商社で長く中東に駐在していた者や、アメリカ企業との合弁会社を作っていたメンバーなど、海外の企業とのコミュニケーションに慣れたメンバーが在籍しています。イスラエルの企業から見て、我々の会社は付き合い易いと感じていただけるのか、よく日本市場参入についての相談を受けます。
イスラエルは人口950万人(2022年5月時点)[3]の、神奈川県くらいの小さな国なのですが、医療機器の分野だけでも、我々はすでに何十社ものスタートアップを見てきています。なぜイスラエルの健康・医療関連企業は世界から注目され、優れた機器を開発できるのでしょうか?大きな理由は、イスラエルの技術力と保険制度にあります。
イスラエルといえば、軍が強いことで有名ですね。大変悲しい事実ですが、軍が強いところは医療も強い、という相関が往々にして見られます。手術支援ロボット、Da Vinciの元の技術は、米軍での軍事応用(戦地での遠隔手術の実施など)を見据えたもので、軍の援助を得ながら開発されたものです[4]。実際、我々が紹介を受けた機器の中にも、イスラエル軍の”瓦礫の中から人を探す技術”を転用したという医療機器がありました。このように軍事技術をはじめとする技術力の高さがあります。
もう一つはイスラエルが持つ保険制度にあります。イスラエルは日本と同様、ほぼすべての国民が保険に入っています。HMO(Health Maintenance Organization) といわれる組織が4つあり、人口の98%の人がこれらのいずれかの組織の保険に加入しています[5]。HMO間の移動はあまりなく、またイスラエルは1990年代から電子カルテの導入に取り組んでいたため[6]、各HMOは各人の時系列を持つ医療データ(検診データを含む)をすべて持っています。被保険者は自分の医療データをスマホアプリなどで見ることもできます。
時系列の長期データでなくとも、すべての医療記録が一元管理(HMOごとではありますが)されている、という状態は医療機器メーカーの機器の検証を容易にしています。HMO自体がR&D部門をもっており、スタートアップとの連携・共同研究などを受け入れています。COVID-19のワクチン開発の臨床データ取得にイスラエルが選ばれていたことを覚えている方も多いのではないでしょうか?昨今では患者データを利用するAI医療機器も増えています。取り扱いがセンシティブな患者データを使った検証のハードルが低いことは、先進的な医療機器企業の成長を後押しすると考えています。
このような理由から、我々はイスラエル発の医療機器に着目しています。日本のアンメットニーズを満たす製品を導入することで、医療への貢献を目指します。

テルアビブの海岸。出張したときは、おおらかで平和な空気の国でした。早く事態が収束することを願ってやみません。

イスラエル出張の時に近くに来てくれた猫さん。少し日本の猫と顔が違う気がするにゃあฅ•ω•ฅ
<参考>
※2019年時点で2位ですが、3位のドイツとほぼ同率で、4位の中国の伸びが大きいため、現在は4位くらいかもしれません。
[1] KHIDI, “Medical Device Industry Information”, (2024-03-26参照)
[2] 外務省,”人口の多い国”, 外務省ホームページ, (2024-03-26参照)
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所, ”我が国医療機器・ヘルスケア産業における競争力調査調査報告書, 2021年3月, (2024-03-26参照)
[3]外務省,”イスラエル基礎データ”, 外務省ホームページ, 令和5年3月10日, (2024-03-26参照)
[4] Anthony Young, “Four Things to Know About Intuitive Before You Start Working Here”, Intuitive Surgical社ホームページ, 2022年12月15日, (2024-03-26参照)
[5] Amir Mizroch, “How Israel Turned Decades Of Medical Data Into Digital Health Gold”, Forbes, Mar 26, 2019, , (2024-03-26参照)
[6] 余田 知弘, “医療データを活用するデジタルヘルスケア(イスラエル)”, 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホームページ, 2020年1月24日, , (2024-03-26参照)
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イスラエル生まれの和田詩雷は日本人の母とイスラエル人の父を両親に持ち、現在もイスラエル在住です。イスラエル国防軍8200部隊の出身で、イスラエルのスタートアップとの交流も多く、日本企業との事業開発を支援しています。また、日本とイスラエルにつながりのある女性たちのNPO、『NEW-IJ』のファウンダーでもあります。
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