田中コラム No.3 イスラエルの医療機器

 イスラエルの医療機器の創出と関連企業のスタートアップにはめざましいものがあります。そのことを知るきっかけは、イスラエル大使館から弊社の高梨取締役へのアプローチです。高梨は36年間にわたって中近東、アフリカを中心に商社活動をして信頼関係を築いて来ました。その関係でイスラエル大使館を通じていくつかの医療関連企業を紹介されました。これら企業は革新的医療機器を創出しており、日本市場進出の目的で当社にアプローチしてきました。2021年6月から既に70程度の案件が紹介され、当社内での評価および相談できる専門医の評価に基づいて、日本で市場性があり、革新的でかつ医療の質向上に資する可能性のある機器を絞り込んできました。約70の案件の中にはイスラエルにおいても開発段階のもの、細胞製剤を使う為に認可のハードルが高いもの、日本に競合製品があるもの、さらに複数の専門医の評価が必要なものがありましたが、総じて素晴らしい革新的医療機器が多く、同国のこの分野の開発力と世界市場への活動に驚いています。紹介される分野は、治療機器、リハビリテーション機器、診断機器、再生医療関連機器と多彩です。
 いくつかの機器を挙げますと、電動屈曲が4か所で大きく回転と屈曲が可能な内視鏡機器があります。ロボット手術機器と従来の内視鏡機器とのニッチに位置付けられ、適正価格と利便性の点で日本への導入が期待されます。すでにFDA認証とCEマークも取得していますので、現在、専門家の評価を受けている所です。
 Just Walk と命名されている歩行リハビリテーション機器は人間工学、脳と神経伝達機能を視点に動的歩行におけるバランスと歩行を改善する機器です。一定の指導の後は患者が自宅で使用できます。PTによる実装評価で市場の方向性を検討しています。
 AIとセンサー技術さらにはクラウドを活用してデータを取得できるスマート電子聴診器も興味深いです。聴診器一つで循環器疾患と呼吸器疾患の専門的診断ができれば、ヘルスケアの質向上に大きく貢献できると楽しみにしています。
 このように、東京国際健康産業株式会社は、日本医療と世界医療を繋ぐための活動もしています。

田中コラムNo.2 健康ビジネスに思う 

少子高齢化社会にあって、生活習慣病予防が重要となり人々の関心も高くなっています。種々の産業技術の進歩で日常生活がますます便利で効率化しています。家電製品のリモートコントロール、自動車生活、携帯電話(スマートフォン)等々の活用でこれまで社会生活の中心であった『ちょこちょこ運動』が少なくなり、これも一因となり生活習慣病が慢性病患の中心となっています。これからもこの便利社会は後戻りせず進んでいくことは確実です。
 したがって医療ビジネスの中で健康ビジネスは常にこの社会生活の変化を見据えて進める必要があります。
 また、人によって生活パターンや健康への取り組みが違いますので、生活習慣病予防を達成するには、一人一人がこれまでの生活パターンと違う行動変容を続ける必要があり、医療側もこれを支えるシステムを備えなければなりませんし、健康アプリの使用や生活指導が一過性にならないように支えなければなりません。この点が健康ビジネス成功の秘訣と思います。最近ユニークなクリニックを知りました。慈恵医大晴海トリトンクリニックの横山啓太郎先生が運営している『行動変容外来』です。成果を期待しています。

慈恵医大晴海トリトンクリニックホームページhttps://www.hosp.jikei.ac.jp/harumi/

田中コラムNo.1  “生き生きとした健康社会”に向けて 

“生き生きとした健康長寿(Well・being)社会”への取り組みが医療の一つの潮流になっています。人は年を重ねるとともに、病いにかかるとともに体力・気力が衰えていきます。この虚弱状態を世界の老年医学では「Frailty」と呼び、日本老年医学会は2014年にフレイルと命名し、この対策が高齢者の生活の質を向上させ、健康長寿社会形成にとって重要であると強調しています。このフレイルからの回復、復帰のための手段は多岐に渡るため、健康医療産業においてビジネスチャンスであり、さらに将来的に健康テクノロジーの発展に貢献することが可能です。
 フレイルに関与する3つの大きな素因として、身体的フレイル、心的・認知的フレイル、社会的フレイルがあげられています。これらの素因の歯車はかみ合って動いていて、相互に影響しあっています。この3つの素因に加えて、コロナ社会で浮きぼりになったのが免疫フレイルです。フレイルは相互関係から、フレイルのどこかに介入すれば、他のフレイルも好転する可能性があります。現在これを目的とした医療産業スタートアップが始まっています。